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長期にわたる臨床試験においては、その間に繰り返し行われる臨床検査の正確性と再現性が非常に重要です。J-STARSは高脂血症の治療薬であるプラバスタチンを用いて行われ、患者様に約5年間参加いただく臨床試験ですが、特に重要な意味を持つ脂質(コレステロール値)の検査、高感度CRPの検査(サブスタディ)、頸動脈エコーの検査(サブスタディ)については、定期的な検査をそのつど正確に行えるよう、検査手法の‘標準化’を図る目的で、それぞれ以下の様な工夫を行っています。
脳卒中の危険因子(リスクファクター)であり、J-STARSにおける重要測定項目である脂質、特に総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロールについて標準化を実施します。本研究の脂質検査標準化担当委員である、大阪府立健康科学センター 脂質基準分析室 ディレクター 中村雅一先生を中心に、米国厚生省疾病管理・予防センターCDC
(Centers for Disease Control and Prevention) /
CRMLN (Cholesterol Reference Method Laboratory
Network)による国際脂質標準化プログラムを用いて脂質測定機関の認証作業を定期的に行なっています。この方法により、世界に通用するレベルで、質の高い研究結果が期待されています。
J-STARSの高感度CRPサブスタディでは、心血管疾患の予知因子である高感度CRPの測定において、測定精度の管理と測定値の互換性の検討を行います。このためには、再現性の高い高感度測定法が必須ですが、世界的に確立された高感度CRPの標準化プログラムは存在しないため、本研究独自の精度管理プログラムを作成しました。本研究の高感度CRP濃度測定標準化担当委員である、大阪府立健康科学センター 脂質基準分析室 ディレクター 中村雅一先生を中心に、高感度CRP測定機関における標準化を定期的に実施しています。このような精度管理下で研究を実施することにより、質の高い研究結果が期待されています。
頸動脈は動脈硬化の好発部位であり、超音波検査(エコー検査)により頸動脈における動脈硬化を評価することは、全身の動脈硬化の進行を把握する有用な手段として活用されています。
J-STARSの頸動脈エコーサブスタディでは、頸動脈のなかでも非常に薄い構造部位
を測定するため、エコー検査に習熟した検査担当者が測定し、再現性を高める必要があります。そこで、本研究の頸動脈超音波検査標準化担当委員である、国立循環器病センター 内科脳血管部門 部長 峰松一夫先生を中心としたエコー研究事務局でプロトコルを作成し、条件をみたす超音波検査装置と検査担当者を有する施設に対して、エコー検査担当者の技量
認定を開始しました。このサブスタディでは、エコー研究事務局の認定を受けた検査担当者しか頸動脈エコー検査を実施することができないため、再現性が高く、質の高い研究結果
が期待されています。 |
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