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平成16年度厚生科学研究費補助金総括研究報告書概要版
厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等総合研究事業)
「脳血管疾患の再発に対する高脂血症治療薬HMG-CoA還元酵素阻害薬の予防効果に関する研究」
主任研究者:松本昌泰(広島大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学)



東儀 英夫   (岩手医科大学)
北  徹   (京都大学大学院医学研究科循環器内科学)
内山 真一郎   (東京女子医科大学附属脳神経センター神経内科学)
峰松 一夫   (国立循環器病センター内科脳血管部門)
井林 雪郎   (九州大学大学院医学研究院病態機能内科学)
高木 誠   (東京都済生会中央病院神経内科)
北川 一夫   (大阪大学大学院医学系研究科病態情報内科学)



 本研究班は、平均的な血清コレステロール値を有する虚血性脳血管障害の既往患者を対象とし、多施設共同臨床試験(J-STARS)により、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)による脳卒中再発予防のエビデンス確立を目指す。

 本研究は、プラバスタチン投与群またはスタチン非投与群の2群で平均5年間の追跡調査を行う多施設共同無作為化非盲検比較試験である。エンドポイントは脳卒中再発、再発脳卒中の病型分類、認知機能障害や日常生活機能障害等の比較検討を行う。横断的予備調査研究(J-STARS-C)による虚血性脳卒中患者の臨床的背景を参考にプロトコルを完成し、研究組織編成、Web症例登録報告システム完成等の実施体制整備を経て、平成16年3月より症例登録を開始した。平成16年度は研究者対象の地区推進会議、全体会議や市民公開講座開催、研究支援資材作成、重要事項の周知等の研究推進活動を行った。また、縦断的予備調査研究(J-STARS-L)の中間解析を実施した。付随研究として高感度CRP検査研究および頸動脈エコー検査研究を実施した。


 J-STARSは本年度の研究推進活動の結果、平成17年3月までに研究協力施設131施設中100施設で倫理委員会の承認を得て、264例の登録を完了し、順調に症例データを集積した。また、J-STARS-Lは目標症例数600例のうち平成17年1月までに412例の登録を達成し、平成16年10月の第1回追跡調査で302例の中間解析を行った。その結果、高脂血症を有する群で有意に脳卒中を主体とした心血管イベントの発生率が高く、これまで日本人で報告のない重要な知見が得られた。更に、J-STARSの対象になりうる患者群をJ-STARS-L登録症例より抽出し、解析した結果、スタチン未投与でJ-STARSの対象となりうる患者が多く、脳卒中再発率は6.7%であり、J-STARSの目標症例数の設定の際に推定した5%を支持した。今後、J-STARSでスタチンの脳卒中再発予防に対する有用性が実証されることが期待される。


 J-STARSは順調に症例登録・追跡を実施することができ、J-STARS-Lは中間解析により高脂血症が脳卒中再発の危険因子であることを示唆する結果を得た。本研究の完遂により脳卒中再発予防の新しい治療法が確立し、国民福祉の向上と医療費の軽減に繋がることが期待される。
「脳血管疾患の再発に対する高脂血症治療薬HMG-CoA還元酵素阻害薬の予防効果に関する研究」
広島大学大学院 脳神経内科学
主任研究者:松本昌泰